Salesforce で販売管理を完結させる — Tier 掛率・代理店判定・赤伝対応まで
「Sales Cloud で商談管理は回っているけれど、受注・出荷・請求は別システムを使っている」——販売業・商社で Salesforce を運用する企業の多くが直面する課題です。Sales Cloud 標準が 「見積」までしかカバーしない 仕様のため、受注以降のフローを別ツールで処理し、結果として データ齟齬・二重入力・売上集計の手作業 が発生しています。
本記事では、ERP Platform for Salesforce で実装できる販売管理の全体像を、Tier 掛率・代理店判定・赤伝票・仕訳自動作成といった具体機能とともに解説します。
Sales Cloud 標準の販売管理範囲
Sales Cloud の標準オブジェクトで扱えるのは以下です。
| 業務領域 | Sales Cloud 標準 |
|---|---|
| 商談(リードから受注予定まで) | ✅ |
| 見積書の作成(Quote オブジェクト) | ✅ |
| 受注の確定 | ⚠ 標準では Quote の Status 変更程度 |
| 出荷指示・納品書 | ❌ |
| 請求書の自動生成 | ❌ |
| 取引先別卸値(Tier 価格) | ❌ |
| 赤伝票・返品処理 | ❌ |
| 在庫引当・出荷後の在庫減算 | ❌ |
| 会計仕訳の自動作成 | ❌ |
つまり Sales Cloud は「商談を見積に落とすところまで」が標準範囲で、受注以降は別の仕組みが必要 な構造になっています。
販売管理に必要な機能要件
販売業・商社が業務として求める販売管理機能を整理すると、次の8項目に集約されます。
- 取引先別の卸値(卸価格・特別価格)
- 個別案件の価格上書き(Markup)
- 代理店経由案件の自動処理
- 受注確定 → 出荷指示の自動生成
- 納品書・請求書の自動発行
- 分納(複数回出荷)への対応
- 赤伝票(返品・返金)の発行
- 売上確定と仕訳の自動作成
ERP Platform for Salesforce は、これらをすべて Sales Cloud のオブジェクト構造に組み込んで提供します。
取引先別の卸値(Tier 機能)
販売業・商社では、取引先によって卸値が変わるのが一般的です。ERP Platform の Tier 機能 は、Tier 1 から Tier 10 までの 10 段階で取引先別の掛率を商品マスタに設定できます。
たとえば商品 X に以下のような Tier を設定すると、
- Tier 1:100%(一般顧客向け定価販売)
- Tier 3:90%(代理店 A 向け)
- Tier 5:80%(大型代理店 B 向け)
- Tier 8:65%(戦略パートナー向け)
商談に紐付く取引先の Tier に応じて、自動的に該当掛率の価格が適用 されます。営業が「これは代理店価格で」と毎回指示する必要がなくなり、マスタで粗利が守られる状態を作れます。
個別案件の Markup Price
Tier 価格に乗らない特殊な案件、たとえば 入札案件・特注品・スポット販売 などは、見積単位で価格を上書きできる Markup Price で対応します。
- リスト価格より高く設定したい場合に活用
- 都度価格が変わる商品は商品マスタの売価を ¥1 にしておき、Markup Price で見積ごとに設定する運用も可能
- Markup を使っても仕入原価は商品マスタの値が維持されるため、粗利計算は正確 に動く
代理店経由案件の自動判定
商談で 請求先と納品先が違う取引先 が指定されている場合、ERP Platform は自動的に「代理店経由の販売」と判定します。
- リセラー価格(取引先の Tier)を自動適用
- 納品書の宛名を代理店向けテンプレートに自動切替
- 請求書も代理店宛で発行
「営業が代理店フラグを忘れて定価で請求してしまった」というオペレーションミスを構造的に防げます。
受注 → 出荷 → 納品の流れ
受注確定後のフローは以下のとおりです。
- 見積 Lock:商談確度が上がった段階で見積を確定
- 在庫確保:指定倉庫から Asset を引き当てる(リアルタイム)
- 納品レコード自動生成:出荷予定日・納品予定日・請求予定日が入力される
- 納品書 PDF 発行:金額あり/なしを選択して出力可能
- 物流担当が出荷完了:Stage を Shipped に更新
- 請求書発行:すべての商品の納品レコードが作成された時点で発行可能
ポイントは「納品レコードが作成された時点」で請求書を出せること。実際の出荷・納品を待つ必要はなく、納品前の請求書発行という B2B 顧客のリクエストにも対応できます。
分納への対応
商談の必要数すべての在庫が揃っていない場合、ERP Platform は 確保できた分だけ分納 として処理を進めます。
- 第1回出荷:確保できた数量で納品レコード作成
- 追加在庫入荷後:再度「在庫確保」ボタン → 残りの納品レコード作成
- 全納品レコードが揃った段階で 請求書を1枚にまとめて発行
請求書は「1商談 = 1請求書」が基本ルール。請求書を分けたい場合は商談自体を分ける運用です。
赤伝票(返品・返金)
返品・キャンセル対応は標準機能でカバーされます。商談の請求関連リストから赤伝票(返還請求書)を発行でき、在庫の取り扱いは3パターンから選択可能です。
- In Stock:在庫に戻し、次の商談で再利用可能に
- Not for Sale:返却は受けるが販売できない状態(不良品など)
- 返却なし:返還請求書は発行するが、商品は顧客に贈与
月を跨いだ返品は赤伝票で、月内の返品は請求・納品レコードを削除して処理、という使い分けが可能です。
会計仕訳の自動作成
請求書を「Send Complete」フェーズに変更すると、その商談の 原価・利益・仕訳 が自動的に計算されます。
- 借方・貸方の仕訳が Salesforce 内に生成される
- 仕入時・販売時の勘定科目は商品マスタの設定に従う
- 月次レポートで勘定科目別の集計が可能
- CSV 出力で freee などの会計ソフトに取り込み可能
API 連携で会計ソフトと直接繋がるわけではありませんが、仕訳作成の手作業ゼロ化 という効果は大きく、経理担当の月末作業を大幅に圧縮できます。
営業経費の入力と仕訳
販売管理機能の一部として、営業経費の入力も組み込まれています。営業担当が経費を入力すると、自動的に商談に紐付く形で仕訳が作成され、商談の 真の利益(売上 − 仕入原価 − 経費)が見えるようになります。
始め方 — 30 日無料トライアル
ERP Platform for Salesforce は 月額 ¥2,000/ユーザー、30 日間無料トライアル で機能を実データ検証できます。
- AppExchange からインストール
- 商品マスタ・取引先マスタを Excel インポート
- テスト商談を作成 → 見積 → 在庫確保 → 出荷 → 請求 のフローを実走
- Tier 機能や代理店判定の動作を確認
通常2〜3日で運用イメージが掴める設計です。
まとめ
Sales Cloud 標準は商談と見積で止まりますが、ERP Platform for Salesforce を組み合わせることで、受注・出荷・請求・返品対応・仕訳作成までを 1 つの画面で完結 できます。
- 取引先別 Tier 掛率(10段階)
- 個別案件の Markup Price
- 代理店経由の自動判定とリセラー価格適用
- 在庫引当 → 納品 → 請求の自動連動
- 分納・赤伝票・廃却処理
- 商談単位の仕訳と利益計算
販売業・商社が Salesforce で本格的な販売管理を実現する基盤として、検討してみる価値があります。
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