Salesforce で在庫管理を完結させる — 販売業・商社のための実装ガイド 2026

「Sales Cloud を導入したけれど、在庫管理だけは別の販売管理システムを併用している」——販売業・商社の経営層・情シスから本当によく聞かれる相談です。商談データと在庫データが別場所にあるため、月末の棚卸し作業や、商談クローズ前の在庫確認に余計な工数がかかっています。 本記事では、Salesforce の標準機能では何ができて何ができないのかを整理し、ERP Platform for Salesforce で在庫管理を Sales Cloud 内に統合する具体的な仕組みを解説します。

Sales Cloud に在庫管理機能は無い

まず前提として、Sales Cloud の標準オブジェクトには「在庫」を扱う仕組みがありません。商品(Product)と価格表(Price Book)はありますが、これらは 販売側の売価管理が中心 で、入出庫・在庫数・複数倉庫・棚卸といった概念は持っていません。 そのため、Salesforce で在庫管理をしようとすると、選択肢は実質3つに絞られます。
  1. 別の販売管理システムを併用する(多くの企業が選択している現実解。データ分断・二重入力という弊害つき)
  2. Salesforce をカスタマイズして在庫オブジェクトを自前構築する(パートナー開発で数百万〜数千万)
  3. AppExchange のアドオン型 ERP アプリを使う(数日〜数週間で運用開始)
本記事ではこの選択肢3、特に ERP Platform for Salesforce で実装する在庫管理 にフォーカスします。

販売業・商社が求める在庫管理機能

販売業・商社が業務上必要とする在庫管理機能を整理すると、おおむね次の8つに集約されます。
  1. 商品マスタ(仕入価格・販売価格・最低在庫数)
  2. 入荷(仕入)処理と注文書(PO)発行
  3. 複数倉庫・在庫場所の管理
  4. 受注時の在庫引当(リアルタイム)
  5. 出荷・納品書発行
  6. ロット番号・シリアル番号のトレース
  7. 不良品・廃却処理
  8. 月次棚卸し
ERP Platform for Salesforce は、これら8項目すべてを Sales Cloud のオブジェクト体系に組み込んだ形で提供します。商品(Product)に在庫情報が紐づき、商談(Opportunity)から在庫を直接引き当てられる構造です。

在庫管理の全体像

ERP Platform for Salesforce の在庫管理は、以下4つのコア概念で構成されます。

コア概念1:商品マスタの拡張

Salesforce 標準の Product オブジェクトに、ERP Platform が追加するのは次のような項目です。
  • 標準仕入価格:商品マスタにデフォルトの仕入単価を保持
  • 最低在庫数:下回るとダッシュボードに警告表示
  • 掛率(Tier):取引先ごとに Tier 1〜10 の卸値を設定可能
  • 無在庫商品フラグ:仕入を伴わないサービスやライセンスは在庫を持たない設定に
  • 勘定科目(仕入時/販売時):自動仕訳を作成するために必要

コア概念2:在庫場所(複数倉庫)

在庫場所は 複数を独立して管理 できます。自社倉庫・契約倉庫・点検中スペース・展示用など、用途別に分けて運用可能です。 組織グループごとに使用在庫場所を限定する設定もあり、「東京本社は倉庫 A と B から出荷、大阪支社は倉庫 B と C から出荷」といった拠点別運用を実現します。

コア概念3:Asset 単位の管理

在庫の最小単位は Asset(個別在庫レコード) です。商品が10個入荷したら Asset レコードが10件作成され、それぞれにロット番号・シリアル番号を登録できます。 販売後の追跡(誰にいつ売ったか)や、不良品が出たときに該当ロットだけを特定する用途で活用されます。

コア概念4:商談との連動

Sales Cloud の商談で見積を Lock したタイミングで「在庫確保」ボタンが表示されます。クリックすると指定倉庫から Asset が引き当てられます。 営業画面と在庫画面が同じ Salesforce レコード上で繋がる ため、別システムへの遷移が発生しません。

複数倉庫・在庫場所の運用

複数倉庫の運用で大事になるのは、「どの組織がどの倉庫を使えるか」という権限設計です。ERP Platform では組織設定レコードに「使用在庫場所」を登録することで制御できます。 例として、製品検品プロセスのある運用を想定すると以下のような構成になります。
  • 倉庫 A:通常の出荷可能在庫
  • 倉庫 B:契約倉庫(出荷可能)
  • 倉庫「点検中」:入荷後の検品待ち(使用在庫場所に登録しない
「点検中」を使用在庫場所に登録しないことで、検品が終わるまで誤って営業が在庫を引き当てることを構造的に防げます。

Asset 単位・ロット・シリアル管理

Asset レコードには次の情報が紐付きます。
  • 商品(Product)
  • 在庫場所(どの倉庫にあるか)
  • ロット番号
  • シリアル番号(任意)
  • 仕入単価
  • フェーズ(In Stock / Not for Sale / Disposal / Sold 等)
シリアル番号は販売後のサポート対応や、顧客から「この商品のロットを教えてください」という問い合わせに即答できる体制を作れます。

最低在庫数と在庫充足率

商品マスタに 最低在庫数 を設定しておくと、ダッシュボードに「最低在庫数を下回っている商品」が一覧表示されます。 加えて、在庫充足率(最低在庫数に対して実在庫が何 % か)を自動計算するため、発注タイミングの判断が定量的にできるようになります。発注担当者は「在庫が少ない順」に並んだダッシュボードを見るだけで、次に手配する商品が分かる状態です。

月次棚卸しの実務

棚卸しは紙やExcel手作業から脱却できる領域です。ERP Platform の棚卸し機能では、以下の流れで作業が進みます。
  1. 棚卸し実施日を入力 → 該当日時点の理論在庫数を商品×在庫場所別に算出
  2. 棚卸レポートを Excel エクスポート → 現場で実地棚卸し → 数値記入
  3. CSV 保存して Salesforce にインポート → システム在庫と一致/不一致を自動判定
  4. 不一致がある場合のみリスト表示 → 原因究明と修正
「全件一致」のチェックが入れば棚卸し作業完了。表計算の往復だけで月次棚卸しが終わる設計です。 加えて、在庫金額集計 機能で期首棚卸・期末棚卸の仕訳まで自動作成できます。CSV 出力で会計ソフトに取り込めば、月次決算の在庫評価が大幅に効率化されます。

不良品・廃却の扱い

入荷時に不良品が見つかった、または保管中に商品が破損した場合は、該当 Asset のフェーズを変更します。
  • Not for Sale:販売不可(出荷可能在庫から除外)
  • Disposal:廃却(在庫から完全に除外)
フェーズを変更するだけで、自動的に出荷可能在庫からはじかれ、棚卸し時の理論在庫数にも反映されます。

始め方 — 30 日無料トライアル

ERP Platform for Salesforce は 月額 ¥2,000/ユーザー で、30 日間の無料トライアル が用意されています。在庫管理の運用を試す流れは以下のとおりです。
  1. AppExchange からインストール(最短当日)
  2. 在庫場所と組織設定を登録
  3. 主力 20〜30 商品をマスタに登録(Excel インポート可)
  4. テスト入荷 → 商談作成 → 在庫確保 → 出荷 のフローを実走
  5. 棚卸し機能を試して月次運用イメージを確認
実データで動かしてみることで、自社の倉庫運用にフィットするかが見えてきます。

まとめ

Sales Cloud に在庫管理機能は標準では含まれていませんが、ERP Platform for Salesforce を組み合わせることで、別システム連携なしに Salesforce 単体で在庫管理を完結 させられます。
  • 商品マスタの拡張(仕入価格・最低在庫・Tier 掛率)
  • 複数倉庫・在庫場所の運用
  • Asset 単位のロット・シリアル管理
  • 商談からのリアルタイム引当
  • 月次棚卸しの半自動化
販売業・商社で Sales Cloud を本格活用する次の一手として、在庫管理の統合を検討してみてください。 AppExchange で ERP Platform for Salesforce を見るSales Cloud を ERP 化する実務ガイド — 販売業・商社のためのアドオン統合 2026Salesforce で在庫・受注管理を効率化する — 販売業・商社の現場運用 2026Salesforce で帳票発行まで完結する — 見積・納品・請求の分断を解消

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