取引先ごとに締め日が違うときは、請求書を取引先別の「締め期間」で区切って作る必要があります。A社は月末締め、B社は20日締め、C社は15日締めという状態を表計算ソフトで管理していると、毎月の請求書づくりが担当者の手作業に頼りきりになります。
ERP Platform for Salesforce は、取引先に納品締めの日と支払いの日を設定する項目を持ち、取引先ごとに設定した期間で締め処理を行います。この記事では、販売管理の締め処理の考え方を整理し、取引先ごとに締め日が違うときの請求書の作り方と、導入前に確かめる点を説明します。
商品を仕入れて売る販売業・商社・卸売で、販売管理システムの導入や見直しを考えている、経理・営業事務・情シスの方に向けた内容です。
販売管理の締め処理とは
締め処理とは、売上や請求の対象を一定の期間で区切り、その期間の内容を確定させる作業です。販売管理システムでは、「この期間に納品した分を、この請求書にまとめる」という区切りを決める処理にあたります。
締め処理が必要になる理由は、取引の多くが「都度の請求」ではなく「期間まとめの請求」だからです。毎週のように納品がある取引先に、納品のたびに請求書を出すと、受け取る側の処理も増えます。そこで、月末や20日などの締め日で区切り、期間内の納品分を1通の請求書にまとめる運用がよく取られます。
締め処理で決める項目は、おおむね次の3つです。
- いつからいつまでを対象にするか(請求の対象期間)
- 請求書をいつ発行するか(請求書の発行日)
- いつまでに支払ってもらうか(お支払期日)
この3つが取引先ごとに違うことが、実務を重くします。
取引先ごとに締め日が違うと何が大変か
販売先が数社なら、締め日の違いは頭で覚えられます。数十社になると、次のような負担が出ます。
- 締め日ごとに、納品データを取引先別に集計し直す必要がある。
- 請求書を作る日が月に何回もあり、日程管理が属人化する。
- 支払条件(翌月末払い、翌々月10日払いなど)が取引先ごとに違い、お支払期日を手で計算する。
- 締め日の変更を取引先から依頼されたとき、どの請求書から新しい日付にするのかを追いにくい。
表計算ソフトで管理する場合、ひな形が取引先の数だけ増えます。担当者が休んだときに、締め日の一覧が共有されていなければ、請求書の発行が遅れます。
営業データを Salesforce で管理している会社では、納品の情報は Salesforce にあり、請求書だけ別のファイルで作る二重の運用になりがちです。締め日や支払条件を取引先の情報として Salesforce の中に持てば、一覧を別のファイルで探す手間は減らせます。
請求書を出す考え方は2通りある
請求書を出すタイミングには、一般に2つの考え方があります。
- 都度請求:注文や納品の単位で、その都度請求書を出す。
- 締め請求:締め日までの分を、取引先ごとに期間でまとめて請求する。
どちらが合うかは、取引先との取り決め次第です。毎月まとめて請求する取引先には、期間で締める請求が合います。この記事は後者の、取引先ごとの締め日で期間まとめの請求書を作る場合に絞って説明します。
ERP Platform for Salesforce の通常の請求書は、その注文のすべての商品について納品レコードが作成された時点で作成されます。通常の請求書の作成タイミングは、見積書・納品書・請求書の作り方で詳しく説明しています。
取引先との取り決めを整理する際は、取引先を「都度請求」と「締め請求」に分けた一覧を先に作っておくと、設定が速く進みます。
ERP Platform for Salesforce の締め処理
ERP Platform for Salesforce は、取引先ごとに設定した期間で自動の締め処理を行います。請求書発行の基準になる締め日は、顧客ごとに柔軟に設定できます。
設定に使う項目は、取引先に用意されています。パッケージの定義にある、主な項目は次のとおりです。
- 納品締め(日):末、または1〜14から選ぶ項目。
- 納品締め(月):月、翌月、翌々月から選ぶ項目。
- 支払い(日):末、または1〜14から選ぶ項目。
- 支払い(月):月、翌月、翌々月から選ぶ項目。
- 締め基準:請求日か納品日から選ぶ項目。
- 締め請求:真偽値の項目。
これらの項目で、取引先ごとの締めと支払いの条件を、取引先のレコードに持たせることができます。表計算ソフトの締め日一覧に代わる置き場所になります。
パッケージには「締め請求」と「締め請求明細」のオブジェクトもあります。締め請求には請求期間の開始と終了、請求書発行日、お支払期日、支払条件、繰越金などの項目があり、明細には納品日、商品、数量、販売価格、小計などの項目があります。
各項目の使い方や、締め請求を作る操作の細部は、この記事では説明しません。トライアルで自社の取引先を入れて確かめてください。
運用の進め方と導入前の確認点
締め請求を使い始めるときは、次の点を先に決めておくと迷いません。
- 取引先を「都度請求」と「締め請求」に分けた一覧を作る。
- 締め請求の取引先について、締め日と支払条件を一覧にする。取引先との取引条件書や過去の請求書から拾います。
- 最初は3〜5社の取引先で試し、請求期間とお支払期日が想定どおりになるかを確かめる。
- 締め日の変更があったときの連絡経路を決める。営業から経理へ、いつまでに伝えるかを決めておきます。
- 締めた後に返品や値引きが出たときの扱いを決める。返品時は赤伝票を発行する仕組みがあるため、締め請求との関係は事前に確かめます。
次の点は、この記事で説明した範囲に含まれていません。導入前に確認してください。
- 自社の締め日が設定項目の選択肢に入るか。取引先の納品締め(日)の選択肢は、末と1〜14です。15日や20日、25日締めの取引先がある場合の扱いを、先に確かめてください。
- 締め請求で扱う取引先と、通常の請求書で扱う取引先が混在するときの運用。
- EC サイト経由の受注と締め請求の関係。EC 経由の受注は、請求書や納品書を EC サイト側で発行する運用が前提です。
- 自社の請求書の様式に、必要な項目が出るか。
ERP Platform for Salesforce は、Sales Cloud の Enterprise エディション以上で使えるアドオンです。月額は1ユーザー2,000円で、30日間の無料トライアルがあります。トライアルで、実際の取引先の締め日と支払条件を数社入れ、請求期間とお支払期日がどう表示されるかを見るのが近道です。料金は料金ページ、機能の一覧は製品ページにあります。
まとめ
- 締め処理は、請求の対象を期間で区切って確定する作業です。
- 取引先ごとに締め日と支払条件が違うと、表計算ソフトでの管理は属人化しやすくなります。
- 請求書を出す考え方には、都度請求と、期間まとめの締め請求があります。
- ERP Platform は、取引先ごとに設定した期間で締め処理を行い、締め日を顧客ごとに設定できます。
- 導入前に、自社の締め日が選択肢に入るかと、通常の請求書との使い分けを確かめてください。
よくある質問
販売管理の締め処理とは何ですか?
売上や請求の対象を一定の期間で区切り、その期間の内容を確定させる作業です。締め日までの納品分を取引先ごとにまとめて、1通の請求書にする運用で使います。
取引先ごとに締め日が違っても対応できますか?
ERP Platform for Salesforce は、取引先ごとに設定した期間で自動の締め処理を行い、請求書発行の基準になる締め日を顧客ごとに設定できます。取引先には納品締めと支払いの日・月の項目があります。納品締め(日)の選択肢は末と1〜14のため、15日や20日締めがある場合は導入前に確認してください。
通常の請求書は、いつ作成されますか?
その注文のすべての商品について納品レコードが作成された時点で作成されます。納品(出荷)の完了を待たず、納品レコードが作成されていれば請求書を発行できます。
EC サイト経由の受注では、請求書はどうなりますか?
EC 経由の受注は、請求書や納品書を EC サイト側で発行する運用が前提で、Salesforce の請求書機能は使いません。締め請求との関係は、導入前に確認してください。
締め請求を試すにはどうすればよいですか?
Sales Cloud の Enterprise エディション以上があれば、AppExchange から30日間無料で試せます。月額は1ユーザー2,000円です。実際の取引先の締め日と支払条件を数社入れて確かめるのが近道です。