Sales Cloud で売上は商談ごとに見えるのに、原価と粗利は月末に Excel で集計している。そんな販売業・商社もあるのではないでしょうか。商談ごと、商品ごとの利益を、もっと早く知りたい場面は多いはずです。
結論から言うと、標準の項目とレポートだけで粗利が見えないのは、原価のデータが商談の外にあるためです。ERP Platform for Salesforce を Sales Cloud に加えると、商談ごとの原価と営業経費を集計できます。利益はダッシュボードで見られます。
Sales Cloud 標準で粗利が見えない理由
Sales Cloud の商談と商品には、売値のデータがあります。見積や受注の金額は、標準のレポートでそのまま集計できます。
一方、粗利を出すには、売値から引く数字が要ります。その数字は、商談とは別の場所にあることが多いものです。
- 仕入原価は、仕入の記録や仕入先とのやり取りの側にあります。
- 営業経費は、経費の記録や表計算の側にあります。
- 在庫のデータは、在庫を管理する別の仕組みの側にあります。
商談に原価がつながっていないため、標準の項目とレポートだけでは、出せるのは売上までです。そこで月末に、数字を Excel へ持ち寄って計算することになります。この方法では、集計が終わるまで利益が分かりません。
売上は見えても利益が見えないと、値引きや仕入の判断が遅れがちです。標準がどこまでを扱うかは、販売管理の記事でも整理しています。
粗利を出すために必要なデータ
粗利は、売上から仕入原価を引いた額です。営業経費まで引けば、商談ごとの利益に近づきます。これに返品と外貨仕入があれば、その扱いも決める必要があります。必要なデータは次のとおりです。
- 仕入原価:標準仕入価格を商品マスタに持ちます。実際の仕入額が違うときは、仕入を入力するときに上書きできます。
- 営業経費:商談に合計経費の項目があり、経費を含めた利益(利益(諸経費込))の項目でも見られます。
- 返品:赤伝票を発行して記録します。返却あり、返却なし、廃却から選べます。返却ありのときは、返却先の倉庫を選びます。
- 外貨仕入の円換算:仕入は外貨でも登録できます。月次の棚卸のときに平均為替レートを入れて、円に換算します。
売値の側は、Sales Cloud の商談と見積にそのまま入っています。足りないのは仕入の側のデータです。まずは、月末の集計の手順を書き出してください。どのデータがどこにあるかを確かめると、進めやすくなります。
ERP Platform for Salesforce での実現方法
ERP Platform for Salesforce は、Sales Cloud へのアドオンです。提供元はファクトリー・イノベーション株式会社です。Salesforce AppExchange からインストールして使います。製品の全体像は製品ページにまとめています。
商談ごとの原価と営業経費の集計
商談ごとに、原価(仕入原価)と営業経費を集計します。売上と並べて見られるので、商談ごとの利益が分かります。本記事では、売上から仕入原価を引いた額を「粗利」、営業経費まで差し引いた額を「利益」と呼び分けています。製品では、売上から原価と営業経費を踏まえた利益を、商談ごとに確認できます。
ダッシュボードとレポート
集計結果は、ダッシュボードとレポートで確認できます。レポートには、商品別・商談別の利益率分析と、在庫回転率、在庫月数があります。入力済みのデータをもとに、見たいときに確認できます。
在庫の引き当てや仕入の仕組みは、在庫管理の記事で詳しく説明しています。
仕訳の自動作成と CSV 出力
取引が発生すると同時に、借方と貸方の仕訳を Salesforce 上に自動で作成します。この仕訳は、CSV で出力して、お使いの会計ソフトに取り込めます。取引先別・期間別の売掛残高と買掛残高の集計もあります。
受け渡しは CSV で行います。
Sales Cloud と別システムの二重運用に悩んでいる場合は、二重運用を解消する方法もあわせてお読みください。
方法ごとの向き不向き
粗利を知る方法を、三つに分けて比べます。
| 方法 | 利益が分かる単位 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| Excel での月末集計 | 集計した範囲しだい | 商談の数が少なく、手作業で回せるとき | 集計が終わるまで利益が分からず、人の作業が要る |
| Sales Cloud 標準のレポートのみ | 売上まで | 売上と商談の進み具合を見たいとき | 原価と営業経費が商談にないため、粗利は出せない |
| ERP Platform for Salesforce を追加 | 商談ごと、商品ごと | 利益を早く知りたい販売業・商社 | 製造原価の集計はできず、販売側は日本円のみ |
商談の数が増えるほど、手作業の集計は負担になります。利益を商談ごとに追いたいなら、原価を商談の側に持たせる方法が向いています。
できないことと、始める前の条件
導入の前に、できないことも知っておいてください。
- 製造原価(材料・労務・外注)の集計はできません。対象は、販売業、商社、卸売、小売、EC 運営です。サービス業は帳票の用途で使えます。
- 販売側の通貨は日本円のみです。外貨は仕入の側で登録します。
- 仕入先ごとに違う価格を持ち続ける機能や、仕入先別の単価履歴はありません。標準仕入価格を持ち、仕入の入力時に上書きします。
- 会計ソフトと直接つながる機能はありません。
- Sales Cloud の Enterprise エディション以上が必要です。標準の「見積」オブジェクトを使うため、Service Cloud 単体では使えません。
ダッシュボードの利益は、仕入や経費の入力内容によって変わります。入力が遅れれば、数字も遅れる場合があります。返品や外貨仕入が商談の利益の数字に反映されるかは、導入前に自社のデータで確かめてください。
料金は月額2,000円/ユーザーで、30日間の無料トライアルがあります。AppExchange からインストールし、Sandbox での試用をおすすめします。詳しくは料金ページをご覧ください。
まとめ
Sales Cloud には売値がありますが、仕入原価と営業経費は別の場所にあるため、商談の粗利は標準では見えません。
- 粗利を考えるときは、仕入原価、営業経費、返品、外貨仕入の円換算の扱いを決めておく必要があります。
- ERP Platform for Salesforce は、商談ごとの原価と営業経費を集計し、利益をダッシュボードで見せます。
- 仕訳は自動で作成され、CSV で会計ソフトに渡せます。
- 製造原価の集計はできず、販売側は日本円のみです。
まずは30日間の無料トライアルで、自社の商談データを使って確かめてみてください。
よくある質問
Sales Cloud だけで商談ごとの粗利は出せますか?
標準の項目とレポートだけでは難しいです。商談と商品には売値がありますが、仕入原価や営業経費のデータは別の場所にあります。商談に原価がつながっていないため、標準の項目とレポートだけでは、出せるのは売上までです。
外貨で仕入れた商品の原価は円換算できますか?
できます。仕入は外貨でも登録でき、月次の棚卸のときに平均為替レートを入れて円に換算します。ただし、販売側の通貨は日本円のみです。
製造原価の集計もできますか?
できません。製造原価(材料・労務・外注)の集計には対応していません。対象は、仕入れて売る販売業、商社、卸売、小売、EC 運営です。
仕訳を会計ソフトに渡せますか?
渡せます。取引と同時に Salesforce 上で仕訳が自動作成され、CSV で出力して会計ソフトに取り込めます。会計ソフトと直接つながる機能はありません。