3Dレーザースキャナとは｜仕組みや選び方、種類別の価格相場を紹介

3Dレーザースキャナとは何か

3Dレーザースキャナは、対象物にレーザー光を照射し、その反射を検知することで対象物の3D形状を高精度に取得する測定機器です。建築、プラントエンジニアリング、建設、測量といった分野で広く利用されており、正確なデジタルツインや3Dモデルの作成に用いられます。特に大規模な構造物の測量や、複雑な地形や建物の形状把握が求められる場面でその力を発揮します。

3Dレーザースキャナの仕組み

3Dレーザースキャナの基本的な仕組みは、レーザー光を対象物に向けて発射し、その反射光をセンサーで捉え、時間差や角度の変化を利用して距離を測定します。この測定データは「点群データ」と呼ばれ、膨大な数の点の集まりとして対象物の3D情報を再現します。

この技術を使用することで、対象物の細かいディテールから、全体の構造まで正確に記録でき、手動では取得が困難な複雑な形状や広範囲にわたるデータも迅速に収集することが可能です。

3Dレーザースキャナの特徴と欠点

特徴

1. 高精度な測量
   3Dレーザースキャナは、ミリメートル単位の精度で測定でき、複雑な構造物や地形を詳細に捉えることができます。これにより、施工前の計画や工事中の進捗管理、またはメンテナンスのためのデータ収集に非常に役立ちます。

2. 迅速なデータ取得
   従来の手作業による測量と比較して、スキャナは短時間で広範囲の測定が可能です。これにより、プロジェクト全体の効率が大幅に向上します。

3. デジタルツインの作成
   取得した点群データをもとに、工場や建物のデジタルツインを作成できます。これにより、遠隔地からでも現場の状況を確認でき、意思決定や問題解決に役立ちます。

欠点

1. ノイズが出やすい環境
   3Dレーザースキャナは、ガラスや鏡面のような反射の強い対象物に対してはノイズが発生しやすく、正確なデータが取得しにくくなります。また、天候条件（雨や霧）が悪いと、レーザーの精度に影響を与えることがあります。

2. データ量の多さ
   点群データは非常に膨大で、扱いには高性能なPCや専用のソフトウェアが必要です。そのため、データ処理や管理に時間やコストがかかることがあります。

3Dレーザースキャナの価格帯（種類ごとの特徴とともに解説）

3Dレーザースキャナの価格は、用途や精度、機能によって大きく異なります。以下は一般的な価格帯の例です。

3Dレーザースキャナには、用途や価格に応じた多くの選択肢があります。ここでは、代表的なメーカーであるFARO、Trimble、Leicaの製品を取り上げ、それぞれの機種の特徴や価格帯を説明します。

1. FAROのFocus Premium（参考価格：800万円～1500万円）

▲出典：FARO Tecnologies

FAROのFocus Premiumは、高精度で長距離の測定が可能な3Dレーザースキャナです。最大350メートルの範囲をカバーでき、建設現場やプラントエンジニアリング、インフラ管理など、広範囲の測量が必要な現場に最適です。
特徴:

• 高精度の測定（±1mmの精度）
• IP54の防塵・防水性能で厳しい環境にも対応
• Wi-Fi接続によるデータ転送が可能で、現場でのデータ共有が容易
• 複数のプロジェクトでの使用が可能な柔軟性と耐久性

Focus Premiumは、大規模な現場や複雑な環境での高精度なデジタルツインの作成に非常に適しており、測定速度と精度のバランスがとれた機種です。

2. TrimbleのX7（参考価格：800万円～1200万円）

▲出典：ニコン・トリンブルTrimble X7は、使いやすさと高性能を両立した3Dレーザースキャナで、中距離から長距離のスキャンが可能です。特に現場でのセットアップが簡単で、測定技術に慣れていないユーザーにも適した機種です。
特徴:

• 自動キャリブレーション機能により、操作が非常に簡単
• 最大80メートルの測定範囲
• コンパクトで持ち運びが容易
• Trimble FieldLinkソフトウェアとの連携で、データ処理がスムーズ

Trimble X7は、操作の簡便さと精度が求められる現場に適しており、測量や建設業界で広く利用されています。コストパフォーマンスに優れ、初心者でも扱いやすい点が特徴です。

3. Leica BLK360（価格：400万円～700万円）

▲出典：ライカ・ジオシステムズ

Leica BLK360は、比較的小型で軽量なスキャナで、短距離や中距離の測定に適しています。建築現場や室内空間のスキャンに最適で、建築設計や施設管理の分野でよく利用されています。
特徴:

• 60メートル以内の測定範囲
• 非常にコンパクトで、手軽に持ち運びが可能
• 短時間で高精度なデータ取得が可能（わずか3分でフルスキャン）
• モバイルデバイスを使用して操作可能

Leica BLK360は、持ち運びの便利さと、短時間で高精度なスキャンができる点で人気があり、特に現場での迅速なデータ取得が求められるプロジェクトに向いています。

4. FAROのOrbis（価格：700万円～1000万円）

▲出典：FARO Technologies

FAROのOrbisは、FAROのラインアップの中で比較的手頃な価格の機種で、主に短距離や中距離の測定に適しています。小規模な建築プロジェクトや、工場内の機械設備のスキャンに適しており、コスト重視のユーザーに向けた製品です。
特徴:

• 約30メートルの測定範囲
• 精度は±2mm程度で、建築内装や小規模な設備の測量に最適
• 軽量で取り扱いが簡単
• クラウドベースのデータ処理に対応

Orbisは、小規模なスキャン作業において高いコストパフォーマンスを発揮し、初めて3Dレーザースキャナを導入する企業にも適しています。

3Dレーザースキャナの選び方（導入時の選定基準）

3Dレーザースキャナを選定する際には、以下のポイントが重要です。

1. 測定範囲と精度

測定する対象物の大きさや距離に応じて、適切なスキャナを選びます。短距離用であれば小型部品の精密測定、長距離用であれば建物やプラント全体の測定が可能です。

2. スキャン速度

現場でのスキャン時間を短縮できるスキャナを選ぶことも重要です。特に、広範囲の測量が求められる場合にはスキャン速度が効率に大きな影響を与えます。

3. データ処理能力とソフトウェア対応

スキャン後のデータ処理が容易な機種を選ぶことで、効率的にプロジェクトを進められます。専用ソフトウェアとの互換性も確認が必要です。

性能と低価格を両立するMatterport Pro3

3Dレーザースキャナの中でも、コストパフォーマンスと使いやすさを両立しているのがMatterport Pro3です。Matterportは、従来の高価な3Dレーザースキャナと比較して、安価かつ扱いやすいという特徴があります。また、クラウドベースのプラットフォームを活用することで、3Dモデルの作成や共有も非常に簡単に行えます。

Matterportは、特に不動産や商業施設でのデジタルツイン化やバーチャルツアーの作成に優れており、デジタルツインを簡単に作成できるため、プロジェクトの効率化をサポートします。

Matterport Pro3の基本スペック

• 半径100mのクラス１LiDAR搭載
• ４Kパノラマ画像を同時撮影
• 重量2.2kg
• HDR撮影標準装備
• 一周の撮影時間は２０秒以下

Matterport Pro3の詳しい説明はこちらのページからご確認ください。

Matterport Pro3の適用範囲

ある工場では、工場全体のメンテナンスや改修計画のためにMatterportを導入し、デジタルツイン化を実現しました。これにより、現場にいなくても全体の状況を遠隔から把握でき、意思決定の迅速化に貢献しています。また、メンテナンス担当者がリモートで設備の確認を行うことで、作業効率が大幅に向上しました。

まとめ

3Dレーザースキャナは、精密な測量やデジタルツインの作成に欠かせないツールです。選定時には、測定範囲や精度、スキャン速度、データ処理能力を考慮して、用途に最適な機種を選びましょう。コストパフォーマンスに優れた機種をお探しの場合は、Matterportが非常に有効な選択肢です。導入事例や性能の両立により、手軽に3Dデータを活用できる点でもおすすめです。

ファクトリーイノベーション株式会社は3次元測定技術のエキスパートとして、お客様のニーズに合わせた最適なソリューションを提案いたします。当社はMatterportの正規リセラーであり、また本記事で紹介した3Dレーザースキャナを含む様々な3D技術についても豊富な知見を有しています。
以下のような課題をお持ちの方は、ぜひファクトリーイノベーションにご相談ください。

• 3Dレーザースキャナの導入を検討しているが、どの製品が自社に適しているかわからない
• 既に3Dスキャナーを導入しているが、データの活用方法に悩んでいる
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• 点群データを活用した新しいビジネスモデルを模索している